「マイベストがまた炎上」──なぜ嫌われるのか?その理由を考えてみた
最近また「マイベスト」がツイッターで話題になっていました
目次(読みたい所をクリック!!)
このキャンペーンの問題点
このキャンペーンの何が問題かというと
- 検索行動を人為的に誘導してランキング操作を狙っている
- 「指名検索」を装ってブランド評価を水増し
- ユーザーがそのページをクリックすることでCTR(クリック率)も上がる
ということです
①検索行動を人為的に誘導してランキング操作を狙っている
Googleは検索順位の決定に、ユーザーの行動データ(クリック率や検索キーワードの傾向など)もある程度参考にしていると言われています
つまり、多くの人が「マイベスト ドライヤー」と検索し、そのページをクリックする行動が集中すれば、
「このキーワードではこのページが人気なんだな」
とGoogleが判断して、順位が上がる可能性があります
本来は「自然に起きた検索行動」から得られるはずの評価を、キャンペーンで意図的に作り出しているわけです
これはGoogleのガイドラインで禁止されている「ランキング操作(ranking manipulation)」に該当する可能性がありますね
②「指名検索」を装ってブランド評価を水増し
「マイベスト ドライヤー」のような形の検索は、Googleから見ると指名検索に近いです
これは「ユーザーが特定のサイトやブランドを知っていて、それを求めて検索している」という意味で、Googleはたくさんの人に認知されている信頼されているサイトとして高く評価しやすい傾向があります
マイベスト側は、それを理解した上で、キャンペーンで人為的に「指名検索風」の検索数を増やしているのです
③ユーザーがそのページをクリックすることでCTR(クリック率)も上がる
仮にキャンペーンで「検索してスクショを撮ってね」と言っているだけでも、多くの人は流れでページを開くでしょう
これによりクリック率(CTR)が上がります
CTRもGoogleのアルゴリズムに影響する可能性があると言われており
この数値を人為的にブーストするのは、アルゴリズムへの干渉行為と見なされる可能性があります
Googleのスパムポリシー違反の可能性
Googleのポリシーには
検索ランキングの操作を目的として、ユーザーの行動を人為的に誘導することはスパムに該当する可能性があります。
と記載されています
したがって「検索させることで何かを与える(=プレゼント)」というのは、まさにこの「人為的な誘導」にあたる可能性があり物議をよんでいるのです
すでにこのマイベストのツイートは削除されていることからも、かなりギリギリのところを攻めたキャンペーンだったという自覚はありそうです
でも、実はマイベストのWebマーケティング手法に対する批判は、今に始まったことじゃありません
「マイベストってなんか嫌い」「またやってるよ」って空気感、Web業界や個人ブロガー界隈では前からじわじわと広がってました
今回は、マイベストがなぜ嫌われるのか、その背景を整理してみます
そもそもマイベストとは?
「マイベスト」は、家電、コスメ、食品、ファッション、日用品など、幅広いジャンルの商品を実際に使って検証し、「○○おすすめ10選」といった形でランキング形式で紹介する情報サイトです
その収益源はアフィリエイト(成果報酬型広告)
つまり、記事を見た人が紹介された商品を購入したら、その分報酬が入る仕組み
このビジネスモデル自体は悪くありません
誠実にレビューして、ユーザーの役に立つ情報を提供して、その結果アクセスが集まり収益も得られる。理想的な形です
でもマイベストは、その「誠実さ」に疑問符がつく行動が多いです
だからこそ、業界内では定期的に批判される対象になることがあります
マイベストの炎上履歴の紹介
- ステマ規制法を受けての動きが怪しい
- アフィリエイトリンクのないサービスはランキングに載せない方針
- マイベストがヤフーの子会社に
- 実際にサービスや商品を使っていないのにランキング記事を書いている疑惑
①ステマ規制法を受けての動きが怪しい
2023年10月、景品表示法に基づき「ステルスマーケティングの規制(ステマ規制法)」がスタートしました
企業が広告であることを隠して、第三者を装って商品やサービスをPRする行為は、違法となったのです
そしてこのルールが始まってすぐ、「マイベスト」の対応が物議を醸しました
ステマ規制法の施行後は広告主から依頼されての商品紹介はもちろん、アフィリエイトのシステムを使用した商品紹介をする場合は、PR表記をすることが義務付けられました
当然マイベストも商品を紹介する記事ではアフィリエイトを使用しているのでPR表記を入れなければならないのですが、マイベストは以下の理由により各記事においてPR記載をしないという表明をしました
マイベスト側は独自の基準で記事執筆しているため、ステマ規制以降も「PR」記載しない
https://suan.tokyo/myrule/
アフィリエイトメディアの最大手であるマイベストがこのようなステマ規制法を無視した対応をとったことで、個人でアフィリエイトをしている人たちからは批判の声が飛んだんですね
こちらの騒動について詳しくはSuanの記事をご覧ください
マイベスト、ステマ規制法違反か。消費者庁に確認しました。さらにアフィリエイト以外のリンクを失くす悪質なアフィ記事も露呈。
②アフィリエイトリンクのないサービスはランキングに載せない方針
マイベストでは編集部が商品を使ったうえでしっかりとおすすめランキングを作成しているように見えますが、実際はアフィリエイト報酬が発生する商品を優先的に掲載していることがSuanの調査で明らかになりました
また、アフィリエイトの報酬額を優先しているだけでなく、アフィリエイトがない商品に関しては記事内で「取扱なし」という表記にして購入すらできない状態にしていたのも話題になりましたね
こちらの騒動について詳しくはSuanの記事をご覧ください
マイベストがついに「美容アフィリ」に本腰を入れるも、低評価だらけのクリニックを1位に。上位5位までアフィリンクなど残念な結果に。
③マイベストがヤフーの子会社に
マイベストは2020年にマイベストを運営する会社を子会社化しています
ヤフーといえば日本ではGoogle並に使用されている検索エンジンですが、その検索エンジンの中身は基本的にGoogleのアルゴリズムと同じです
しかし、ヤフーでのみマイベスト関連の記事を検索した場合に大きなサムネイルとともに上位表示されていることが確認されました
その結果、ヤフーが子会社のマイベストを検索で優遇しているという批判を受けました
その他にも一休という旅行予約サービスもヤフーの子会社であり、同じように優遇されているのではないかという言及もありました
こちらの騒動について詳しくはSuanの記事をご覧ください
【独自】Yahoo、検索結果を恣意的に操作か。子会社「マイベスト」の検索順位優遇の疑義。
検索エンジンは公平であるべきですが、子会社をある程度優遇するのは仕方ない面もあるという意見もありましたね
④実際にサービスや商品を使っていないのにランキング記事を書いている疑惑
noteにこんな記事が投稿されていました
都合の悪いことはすべて消す!それがmybest(マイベスト)
マイベストの記事を読んでいると、まるで自分たちが実際に商品を使用し、比較・検証したかのようなトーンで書かれています
「編集部が実際に使ってみた!」という文言や写真、グラフなど、見た目はとても“本格的”です
また、記事によっては専門家が監修していていかにも本当のレビューっぽいのが特徴です
しかしこの記事によると、マイベストに、自社サービスを実際に利用していないにもかかわらず勝手に紹介されていたとのことでした
現在はクレームがあり修正されているようですが、他の記事の信頼性も損なわれますね
問題は「強すぎること」
以上のようにマイベストが一部の人から嫌われている事件を紹介しました
確かに一見するとマイベストの記事は情報量が多く品質が高そうに見えるので、その結果上位表示を取られてしまうのであれば、わたしたちのようなWeb業界の人間や、アフィリエイトブログを個人でしているような方達からも批判される理由はないと思います
でも実際は
- 特定のアフィリエイトがある商品しか載ってない
- 本当に専門的な知見を持ってる個人ブログがSEOで勝てず、淘汰されてしまう
- Googleが「ユーザーのためになるコンテンツを上位にする」と言ってるのに、SEOハックで上がってくる
といった中立性・誠実さを装った記事を書いておきながら実際は収益のために不誠実なことをしているというのが問題ですね
本来そういった記事は検索エンジンで評価されないはずではあるのに、誠実にやっている人たちからしたら強すぎるマイベストに不満をいだくのは当然です
結論:ネットの情報って難しい
ということで、マイベストがなぜ嫌われるのか?をまとめると、
- 一見中立そうに見せて、実は広告重視の偏った情報ばかり
- 他人の情報を「参考」として再利用し、自分たちの権威性にすり替えている
- 個人の誠実な発信者がSEOで勝てずに淘汰される構図
こうした背景が積み重なって、「嫌われブランド」になっているようです
でも結局のところ、誰の情報も“完全に中立”なんてことはありえない。
正直言うと、僕もホームページ制作について発信してます
当然、そこには「仕事につながればいいな」って思いもあるし、主張にもバイアスはある
だからマイベストも、ある意味では同じように「ビジネスとして発信してるだけ」と言えるのかもしれません